« June 2008 | Main | May 2009 »

ひとがた流し

Hitogata ひとがた流し
北村薫著 朝日新聞社刊

 久しぶりに『枕を濡らした』。夜中の3時に読み終えるまで鼻水も枯れる勢い。仕方が無いのでブログに書き込もうと思う。

 地元:安芸区の図書館に通い詰めて10年、さすがに推理物は勿論、他の読み物も大方目を通した感があって実際困ってる。その上、寄る歳並には勝てず、就寝前の読書に対する体力もめっきり落ち、読書速度も量も気がかりだ。そう言った諸事情で、本を選択する作業にも気を使うのだが、この北村薫ものを選んでおけば間違いは無かった
大体に掌中短編で読みきりが良く、肩の凝らない軽妙な文章と品のある笑いにスッキリした読後感が約束されてた。

 ご存知かも知れないが、著者は「本格ミステリー」志向の重鎮である。本来のお仕事?は耽溺するほどのミステリーマニアの為のアンソロジー編集責任者でもある。その北村先生が此処の所、テレビ脚本家並にホームドラマ小説を書き続けてる。いち愛読者としては、往年の? 『空飛ぶ馬』シリーズの続編を書いて欲しい限りなのに……。

 実はこの「ひとがた流し」も、NHKの『土曜ドラマ』で2007年12月に放送された全3話の単発ドラマであります。運良く?私は昨年の再放送をキャッチしていました。
 沢口靖子がほぼ主役の、今で言うアラフォー世代の切ないお話。共演の松田美由紀(故・松田優作の夫人)や高木美保が久しぶりのドラマ出演で新鮮でもあり…。
 とは言いながら実のところ、北村薫作というのを失念しておりまして、この度それなりの重量をもつ単行本を気軽に手にしたものの、読み進めるうちに「これは確か…」の記憶の反復現象からさらに、「こう言うことだったのか!」の奥深さをシミジミとかみ締め、あっと言う間の数章を過ぎるうちに涙が止まらなくなってきた次第です。

 はっきり言って心外で想定外のこの状況にウロタエました。殆ど実感の無いアラフォー女性の世界感と、下世話な家族関係のお話には違いないのです。ところが、北村薫が描くと男女の垣根の無い人生訓であり、カケガエノ無い友情物語にも思えます。かなわんなー。

 北村薫(きたむら かおる、1949年12月28日 - )は日本の小説家、推理作家。埼玉県生まれ。本名は宮本和男。早稲田大学第一文学部卒。
 在学中はワセダミステリクラブに所属。卒業後、母校である埼玉県立春日部高等学校の国語教師をしながら(1980年~1993年)、創元推理文庫の「日本探偵小説全集」を編集。1989年覆面作家として『空飛ぶ馬』でデビュー。1991年に『夜の蝉』で第44回日本推理作家協会賞(連作短篇集賞)受賞を期に正体を明かす。、2006年に『ニッポン硬貨の謎』で第6回本格ミステリ大賞(評論・研究部門)・2006年版バカミス大賞を受賞する。代表作『スキップ』等で、直木賞最終候補作に五度選ばれている。

 覆面作家をやっていたくらいなので、あまりマスコミに登場してません。その内確実に直木賞は取れる作家ですが、あまり欲も無さそうです。勿論、知るヒトぞ知るミステリー界の重鎮なので、熱烈なファンは居ました。

下記サイトは北村薫先生のファンサイト「北村亭」です。
http://www.kitamura-tei.com/

さすがに本家・北村ファンらしい、さりげなさと生真面目・誠実さが溢れたサイトです。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

« June 2008 | Main | May 2009 »