« March 2007 | Main | September 2007 »

九百人のお祖母さん

Lafferty 九百人のお祖母さん
R.A.ラファティ著/浅倉久志
早川書房(でも廃版?)

 変なおやじ作家を発見! SFマガジン系の読者には外せないおやじらしいけど、基本姿勢は純文学のわたくしには、寝耳に水。ドぎゃんビックリのオモシロおやじでした。

 Raphael Aloysius Laffertyは 1914年11月7日、アイオワ州Neolaの農家で四人兄弟の末っ子として生まれる。4歳のときにオクラホマ州Perryに、後に同州Tulsaに移る。Clark Electrical Supply(電気部品会社?)に入社。1942年陸軍入隊高射砲部隊に所属し、主に南太平洋戦線に勤務する。1946年退役。デビュー作は1960年「氷河来たる」"Days of the Glacier"とされる。処女長編は1968年Aceブックスから出版された『トマス・モアの大冒険』"Past Master"。71年からは作家専業となった。1972年には「素顔のユリーマ」"Eurema's Dam"で、ヒューゴー賞を受賞している。(すべて勿論、ウケウリ情報)

 45歳を過ぎてからの執筆活動。1984年の誕生日に自らへの誕生日プレゼントとして休筆した。それまでに21篇の長編と250編以上の短編を発表している。晩年をオクラホマ州Broken ArrowのFranciscan Villa Health Care Center(老人ホーム?)で過ごした後、2002年3月18日87歳で世を去った。変人は長生きでもあった。

 なにはともあれこの短編集『九百人のお祖母さん』だけでも、そのハチャメチャ振りはかなり堪能できます。実際のところ、これってSFなの?って疑問形で入って、おいおい日本昔話にでも出てきそうな「大法螺野郎」のオンパレードじゃんとなって、でもとにかくそれらしい専門用語が羅列されてもしかして相当な薀蓄人間とおもいきや、中途半端な結末で放り投げられたりと、良い意味でも予定調和のない期待通りのSFショートショートです。

 たとえば星新一の極短SFに、カート・ヴァネカットJrの饒舌を加えて、椎名誠風に哀愁をすこし漂わせた作風、って言っても分からないか?
 とにかく2度読みして理解しようとか考えず、ひたすら法螺話の紙芝居の世界に酔いしれて、落語家の舞台裏みたいに最後は「そりゃぁ ねぇだろ!」って軽くツッコミを入れる感じがちょうど良い。
 でも何故か、軽い読み物のはずなのに後を引くのは、愛すべきこの正体のつかめない親父の全人生の重みを感じるからなのかも知れない。

 さすがに変な人気を呼んで、ファンサイトが沢山あります。
とりあえず、ラファティ」(松崎氏)
http://rad.clin.med.tokushima-u.ac.jp/RAD/RAD5/index.html

秘密のラファティについて」(林哲矢氏)
http://www2s.biglobe.ne.jp/~ttsyhysh/lafferty.html

どちらも愛すべきラファティに魅せられた、良質活字中毒者です。

PS:名訳者=浅倉久志の解説も秀逸。この文庫本当に絶版なのかな。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

« March 2007 | Main | September 2007 »