« January 2007 | Main | March 2007 »

東京地検特捜部

Anekouji 東京地検特捜部
姉小路 祐 (あねこうじ ゆう) 講談社文庫

 リーガルサスペンスの日本版も、最近ではTVの2時間ドラマで沢山楽しめるようになってきた。胡散臭い法廷ドラマも多いけど、リアルな検事と弁護士のやり取りは単純に面白い。そのTVドラマの原作者でも売れ筋の、姉小路祐先生であります。
 1952年京都市生まれ。大阪市立大学法学部卒業。現役の司法書士から作家に転身。『動く不動産』で第11回横溝正史賞を受賞する。代表作は講談社文庫の人気シリーズ『刑事長(デカチョウ)』全4冊。弁護士・朝日岳之助シリーズや特捜弁護士など法廷推理の秀作を次々発表。本格的な推理小説にも挑戦、そこそこに頑張っています。

 稀に見る才能と幸運で若くして大学教授の道を歩む主人公:香車勇人(かしゃはやと)。突然の辞令で東京地検特捜部の検事に転身、左右もわからぬまま大学不正入試の疑惑事件の捜査に携わる。彼には、暗い生い立ちの過去があった。苦学生に裏切られた不遇の母の死、息子と認めない法学会の重鎮の父親の鼻を明かす前に、その父親の死。目的を失った矢先に大学改革に巻き込まれ、学部部長の席を取り上げられる主人公。
 司法試験免除で検事になれる資格から異例の抜擢に、東京地検の検事たちの目も厳しい。八方ふさがりの状況から、持ち前の正義感と孤高の精神で地道に捜査を積み上げるうちに、事件は裏金融と株の仕手集団の仁義無き抗争や、特捜部内の権力争い、司法裏取引疑惑へと膨らんでゆく。

 政治がらみや金融株関係の疑惑事件で、よくTV放送される特捜部ですが印象は薄くて、ダンボール箱を運ぶマルサ系の部門だと思っていた。いやはや賢くなりました。特別な実権を持つ全国に東京・大阪・名古屋の3箇所にしかないエリート集団であります。
 お気に入りのドラマ:木村拓哉主演の「ヒーロー」での検事は、大衆事件が主体でほのぼのしてましたけど、さすがに政治犯相手の部署は極秘スパイ並みに厳しい世界です。検事には個室と事務官という専門の部下があてがわれます。普通の事件には一人の検事が担当、担当する事件の数も多く相談する相手も無く、こりゃ孤独な仕事ですよ。

 物語は最後まで、裏切りと黒幕の暗躍で二転三転。結末はハッピーエンドには違いないけど、これでいいの日本の司法? と首を傾げる内容です。勿論フィクションなのですが、なんかとてもリアルで困惑します。内部告発的な作品という帯で、シリーズは続くのでしょう。

お勧め度:複雑な日本の司法制度もここまでオープンになるのか?で星3っつ。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

« January 2007 | Main | March 2007 »