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検察捜査

Nakajima 検察捜査
講談社文庫:中嶋博行

一般庶民にとっては裁判所というのは、あまり縁のない場所だし縁の欲しくない場所でもある。交通違反での簡易裁判程度は、誰でも一度くらいは経験するかもしれない。自慢じゃないけど、建築絡みの民事法廷で原告側の証人として出廷経験があります。宣誓書まで書かされて、向こうの弁護士に追及されシドロモドロの悲惨な記憶なので、実際は消し去りたい過去ではありますけど。その収容人員30名程度の小法廷でも、3人の裁判官に筆記者がふたりとそれなりに格式のある体裁。一般庶民はそれだけでビビリます。

さてご存知のように検察官と言うのは、刑事裁判の時の警察側。弁護士の敵対的存在でTV的にはどちらかと言えば悪役が多い。最近でこそキムタク効果などで盛り返してますけど、まだまだ司法システムの複雑さもあってかメジャーな存在には程遠いわけです。

希少な女性検察官:岩崎紀美子は、次期弁護士会会長候補と目されていた人物の拷問・殺人事件の担当に指名される。直属の事務官:伊藤とのチームワークで、不可解な事件の周囲に、弁護士会の派閥闘争絡みまでつきとめるが‥‥。東京高検のお偉いさんの不穏な思惑、慢性的な地方検察局の検察官不足、弁護士と言う職能の複雑な内幕、そして泥臭い刑事たちとのやり取りとリアルに描き出して、ストーリーは佳境に!
一応、美人と設定されてる岩崎の日常が実際ふつうっぽくて、相方伊藤君とのライトな男女の関係やそれでいて、やる時は上司に平気で噛み付く格好よさが、キムタクっぽい。
ただ2時間ドラマにしては、内容が重い。現実の司法制度の深刻な問題点をあぶりだして、今後の陪審員制度の導入なんて、本当に大丈夫なの? と思わせる。

現役の弁護士としてエンターテイメントの小説の世界に入ってきた中嶋博行氏は、日本では珍しい司法内部に切り込んだリーガルサスペンスの第一人者です。1955年、茨城県生まれ。早稲田大学卒業後、6度目のチャレンジで司法試験合格。横浜で弁護士として生計を営みながらこの「検察捜査」で1994年、第40回江戸川乱歩賞を受賞。
その後、「違法弁護」「司法戦争」へと続いてゆきます。社会問題提起の姿勢が保たれた職業人としても立派な作家です。海外ではグリシャムというその道の有名な作家が居ますが、日本的な切り口で司法を語れる希少な作家かもしれません。

お勧め度:高給取りの代名詞・弁護士等もいろいろ大変なんだなぁに、星3っつ。

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Comments

拷問殺人の動機がいまいち弱く、
ミステリとしては凡作でしょう。

しかし、法曹界の問題を指摘した社会小説としては◎と思いました。

ただ、ここで描かれている、検察官の不足という最大の問題は現存しておりません。

今は修習生内に検察希望者が多すぎ、
検事への道は競争を極めております。

岩崎と伊藤の関係がいまいちわかりませんでした。

これがアメリカのクライムノベルなら、
男女2人組は必ず恋に落ちるか、はじめから出来ているかで、
2人のストーリーとは無関係な絡み描写があり、
大変わかりやすく描かれるのでしょうが、
本作は中途半端な匂わせに終始し、
「全く何にも無し」の方がマシに思えました。

Posted by: つけめんデリック | Sunday, October 28, 2007 09:33 PM

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