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凍るタナトス

Tanatosu 凍るタナトス
柄刀 一(つかとうはじめ):文芸春秋本格ミステリーマスターズ

いつも思うのだが、推理小説家のペンネームってのは、どうして読み難いのが多いのだろうか?
非日常の別人格を表出する自己表現の一部といってしまえば、肯けると思うのだろうか? 読者の方も余程の引っ掛かりが無ければ、適当に読んで流して構わないと言うべきか?

海外のニュースで確か聞いたことがる、死後の人体を冷凍保存して未来の医療の進歩により生き返りたいと望む人が居るらしい。この小説ではそれを「クライオニスト」として、お金持ち達の権力の象徴として扱われています。ヒトゲノムなどの遺伝子工学の進歩を見ると、にわかに現実味があるお話ではあります。

柄刀 一。1959年、北海道生まれ。1998年、『3000年の密室』でデビュー。著作に『ifの迷宮』『OZの迷宮』 『火の神の熱い夏』(以上、光文社)、『シクラメンと、見えない密室』(実業之日本社)、 『殺意は青列車が乗せて』(祥伝社)などがある。やはり、筆力のある人で今後が期待される作家です。

永遠の命を商いとする科学者集団、クライオニキス財団の創設者が惨殺され、その冷凍保存された頭部だけが粉々に破砕される。肝臓移植を待つ娘を持つ孤高の刑事が、不可解な殺人現場や密室の謎に挑む。生と死をめぐる葛藤や利害、宗教めいた集団心理と、暗躍する殺人者などサスペンスめいた作りです。
トリックも詳細で、最後の最後にドンデンガエシの結末という鮮やかな手法。だからってこれも、庶民のあずかり知らぬ世界だなぁ! 異質空間のトリックものは、SFサスペンスと考えるべきなんだろうか?

お勧め度:2時間サスペンスドラマの再放送が好きな人に、星3っつ。

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Comments

Oh! 本格読書ブロガー?からの初コメントだぁ。それも広島の女性だぞ。
TBの仕方も知らないオヤジ・ブロガーとしては正直、オロオロしております。
また訪ねて来て欲しいものです。くろやぎもコメントを出すように心掛けますので……。

Posted by: くろやぎ | Friday, August 25, 2006 10:38 AM

こんにちは。
クライオニクスは、どうも納得しづらい技術ではありましたが、トリックは見事の一言でした。
日常の謎もいいけれど、ガチガチのミステリって楽しい!と思わされた作品でした\(^▽^)/

Posted by: かずは | Thursday, August 24, 2006 10:43 PM

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