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ミスティック・リバー

ruheinミスティック・リバー
デニス・ルヘイン/著 加賀山卓朗/訳
ハヤカワ・ミステリ文庫

どうにも切なくなる小説がある。そのやり場のない切なさが尾を引くような物語には、約束の映画化が待っているみたいだ。
今年のアカデミー監督賞を取ったクリント・イーストウッドの前回作が、この小説を原作にしたものだ。日本では今春の公開予定。乗ってるダーティ・ハリーの監督業の映像に期待をしましょう。

子供の頃に心を通わせた3人の男の子。それぞれに環境の違う地域の家庭ぐるみのつきあいも、ある事件をきっかけに静かに崩壊する。その事件は、遊んでいた3人の一人だけを連れ去り、監禁と陵辱の上解放されたこと。気まずい心の傷を背負った子供たちは、それぞれの人生を歩み家庭を築き25年後に同じ町に住んでいる。犯罪歴を持つジミーの娘が殺害され、その捜査を担当することになった刑事のショーンと、陵辱の過去を持つデイブはジミーの家族と近しいつきあいをしているが、心の病気を深めている。
ストーリーは殺人事件を追い求めるサスペンスを主体に流れるが、挿入される3人の男たちの悩める心理スケッチが濃密で、アメリカという社会の微妙に不安定な社会環境を映し出して、やはりやり切れない感じを醸している。

誰の記憶にもあるもので、仲の良かった少年時の友達が歳を取るごとに疎遠になって、今は行方も知れなかったり、たまの同窓会で顔を合わせても会話ができなかったりすること。大人になると群れを作ることに億劫になったりするけれど、あの頃の無闇にじゃれ合ってた楽しさはもう取り戻せないのかと思うと寂しくなる。家庭環境や貧困を越えてつき合えてたピュアな時代には……。

映画を観てから原作を読むか? どうかは個人のご趣味でお構いなしだが、是非原作だけは読んで欲しい傑作だと思う。

お奨め度:日本にも「泥の川」という純文学があったなあと思わせるので星4っつ。

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