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QED 六歌仙の暗号

QED 六歌仙の暗号
高田崇史 講談社ノベルス

QED【quod erat demonstrandum】=証明完了ってことらしい。謎がすべて解けた時に、金田一少年なら「じっちゃんの名に賭けて!」と言う決め文句に近いものかな? でも実際には小説内に一カ所しか出てこない意味不明なラテン語ではありました。残念。

第9回メフィスト賞を取ったのは前作「百人一首の呪」なのですが、読みやすいのはこっちの方なので先に紹介します。
高田氏は昭和33年生まれの薬科大学卒の作家です。本職は薬剤師?なのでしょうか、探偵役の主人公:桑原祟も漢方に詳しい薬剤師という設定です。同じ大学の後輩、棚旗奈々と同級のジャーナリスト小松崎良平の3人が、なぜか?和歌に関わる連続殺人事件に挑みます。加えて、小松崎のおじさんが警視庁の刑事という見事な設定。なんか無理があるけど?っと首を傾げつつ読み進めて行きます。

「六歌仙…」では、先に「七福神」という言葉がキーワードで殺人が起きますが、これも唐突に「六歌仙」に繋がって行きます。事件自体も変哲ないし、辛いなぁ…などと言いつつ又読み進めます。
さあここからが蘊蓄のオンパレード七福神は怨霊の集まりだったに始まり、平安時代の晴明をを始めとする陰陽道の世界から、六歌仙の元になる「古今和歌集」の編纂に携わった紀貫之の政治観など、こりゃあ凄い参考文献量であります。
しかも無理矢理のこじつけめいた軽さはなく、ぐっと胃に応える内容で、「そうだったんだ!」などと納得のうえに納得の世界になります。
先の「百人一首…」では、札をジグソーパズルみたいに分類・並び替えの上に曼陀羅に関連づけた荒技に、読む方が疲れてしまいますが、今回の七福神と六歌仙の関係式は、新解釈として学会もの?
なにはともあれ力作で、労作です。
人間描写も殺人の動機も薄いのも許しちゃいます。よく調べたで賞っていう賞があれば、満場一致。蘊蓄万歳!のロジック小説です。たとえば梅原猛の卑弥呼ものが、とても胡散臭くても読み物として上等なように、推理小説の一分野と考えれば、QEDってことなんです。

お奨め度:漠然と和歌集なるものを暢気に詠んでいた文人きどりに星4っつ。

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