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ガラパゴスの箱船

ガラパゴスの箱船:カート・ヴァネガット
早川書房:浅倉久志訳

アメリカ文学の良心」と褒めそやされる存在、ヴァネガットの登場です。
如何せん老齢の為、新作が無い。旧作も廃刊の危機に瀕していて、なかなかお目に掛かれない作家です。図書館の方が見つけやすいかも……。
出版はほとんどが早川書房、和田誠のイラストカバーでとても似合ってます。

インディアナポリス出身のドイツ系移民3世とご自身が宣うように、斜に構えた劣等感の塊のような人格の主人公がSFチックなドタバタ喜劇を演じるお話ばかり。
ウイット?またはアイロニー?に粉飾された諧謔的な文学は、なんか奥が深そうで読み解きに難あり故、普通の日本人には人気が無いのは仕方ない。
つい「ウディ・アレン」の珍獣めいた広告を思い浮かべてしまうのは、ただのアメリカ文化のスタイルとしての看板扱い?を受けてるような哀しい状況です。

最近の作品には、落ち着いた社会批判の面が強くなって映画化は難しいが、とても重たい文学になってます。脱稿に3年あまりを費やしたというこの「ガラパゴス……」は、日本人夫婦が何故か出てきて、人類最後の楽園を静かに過ごします。実際、日本にはゾウシの深い人ですので嬉しいですね。

スローターハウス5」は1972に映画化。「母なる夜」も1996に映画化。観てみたい気もしますが、ストーリー的にどうなんだろ? 散文的な文学なので成り立ってるのだろうか?
作中人物「キルゴア・トラウト」というSF作家だけは、映像として観てみたいけど……。
他に「パームサンデー」「モンキーハウスへようこそ」「スラップスティック」「ホーカス。ポーカス」と沢山、珠玉の本土アメリカではベストセラーものがあります。
軽いタッチのものから、チャレンジしてみてください。

So it goes。(そう言うもんだ!)という、文末の決め文句が堪らないと思えればめっけ物です。基本的な姿勢はSF作家ですが、実は社会派きまじめ作家なんだと分かります。と言って構えて読んでも「肩すかし」ばかりなので、最初は4コマ漫画を読み飛ばす気分で臨みましょう。

お薦め度:ヘミングウエィに継ぐアメリカの文学を味わいたい人に、星4っつ。

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