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風物語

風物語:阿刀田 高
講談社文庫

短編小説と言えば、「小僧の神様」の志賀直哉ですが、ここ最近の秀作で認められてるのが、向田邦子とこの阿刀田先生でしょうか。
短編ものの良さは、その余韻です。
梶井基次郎の「檸檬」が今でもあの薄っぺらな文庫本で店頭に並ぶ不思議?は、まさにその意味で傑作なんでしょう。
文章作法の最新原論?には、短編を熟読玩味しなさいと在った。
さっそく、ブックオフで短編物を数冊買い漁り、ワープロで打ち込む作業をしてみる。
向田邦子は会話が多くて、打ち込みにくい。佐藤正午は漢字を端折りすぎる感がある。
名文で比較すると、阿刀田先生に落ち着いた。自ら「短編の鬼」を目指した人らしく、見事な腕前であります。

とにかく器用な人ですよね。推理小説からギリシャ神話、恋愛物から青春物、最近は怪談ものまでと幅広い。しかも多作でも、はずれが少ない。マスコミにもよく登場するし、人格者で物腰も柔らか。小説家の鏡のような人です。

この「風物語」は街角の風景のような人々の心象スケッチの連作です。
12編の作品のほぼ全作が女性の鋭い感性を主題にした小編で、ぐっとくるオチを用意してある。SFで言えばショートショートな短編オチなんだろうが、純文学としては実験的なものだと思います。
よくネタが浮かぶなぁって思うほど、引き出しが多そうです。
結局、小説ってのは人間観察とシチュエーションにいかに対応したかに関わってるような気がします。その為には街角に立って聞き耳を立ててる小説家の努力が伺えます。
それにしても人生ってのは、うら寂しくて哀しい一瞬一瞬のつながりなんだとシミジミ思わされたりします。

お薦め度:40代を無事に過ごせそうな中年に星4っつ。

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