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錯乱のニューヨーク

錯乱のニューヨーク:レム・コールハース
ちくま学芸文庫:鈴木圭介 訳

すごいお堅い本を一冊紹介。
コールハースと言えば今をときめくグローバルなオランダの建築家で、プラダの店舗や世界の主要な建築設計コンペで名を馳せる人です。日本の安藤忠雄並に、この人の作品や主義主張は建築界の注目を浴びていますし、現在を代表する建築家の第一線で活躍しています。
そんなコールハースも若かりし頃は仕事もなく、計画や論文の客員として食っていた貧しい?時代があります。「錯乱のニューヨーク」は1980年代の手前に発表された都市計画論です。
時代的には「ポストモダン勃興」の近代建築の解体期で、あまり読まれた様子はない。
最近になって彼の設計手法や斬新な思想がクローズアップされ、掘り出された休眠本であるが、内容的にはひどく難解ではあるが文学的で、ある意味ノスタルチックなマンハッタンの高層建築に対する蘊蓄と人間の飽くなき欲望の哀しき現実を語り尽くしている。
あんまり詳しく解説しても、建築関係者でないひとには寝耳に水?状態なので、簡潔に説明します。
現在の摩天楼と呼ばれるマンハッタン島が作られてゆく歴史は、大変意味深です。
コニーアイランドというテーマパーク建設を発端にして、アムステルダムを模倣して理想の都市をめざしたアメリカの情熱。エレベーターという機械が発明され、高層化を推進する。世界から建築家が夢を果たすために集まり、それぞれの計画案を提示しては敗れ去って行く。かの「コルビュジェ」にして然り。有名なロックフェラーセンターの詳細な計画の流れや国連ビルのコンペ案、セントラルパークの存在理由と枚挙にいとまのない、歴史の事実。
18世紀のアメリカは凄かったんだと感激します。

コールハースは他にも著作があります。実作家である前に、思想家として先に名をなしたひとなので文章家としても一級です。読み解くのは大変ですが、建築家が大きなビジョンを持って設計を進めるものだということだけでも分かって欲しいと思います。

お薦め度:建築を楽しみたいひとに星みっつと蔵書用カバー

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