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封印再度(WHO INSIDE)

封印再度(WHO INSIDE):森博嗣
講談社ノベルス

博嗣と書いて「ひろし」と読むらしい。表題に副題と凝った書名に相応しい、造り込んだ感のある本格ミステリーである。
建築関係の大学教授がミステリーを書いてるらしいという噂は随分前に聞いていた。なかなか文庫本でお目にかかれないと思ったら、ノベルス物の常連ベストセラーだった。図書館のノベルスコーナーで探し出してホッとしてる。
小説現代別冊の「メフィスト」誌の第一回メフィスト賞というのも初耳だった。それが1995年、現在までに犀川・西之園ペアのシリーズだけでも10作と多作である。多分デビュー前から、相当プロットをストックしていたに「違いない!」。建築学科の教授が暇と思われるのは心外でもある。
実際、今どっぷり嵌ってて数冊抱えて読み込んでいる。

デビュー作にしてメフィスト賞受賞の「すべてがFになる(THE PERFECT INSIDER)」に始まる一連の密室殺人事件。工学系の学者らしい、衒学趣味的な思考の流れと軽い文体。建築関係の知識もちらほら小出しにして、その道の筋にも楽しませる余裕も見せる。なかなかの曲者です。途中かったるい思わせぶりの部分が気になるけど、著作枚数の必要悪と納得しましょう。
研究室とか最初から半密室状態のなかで起こる殺人事件は、反則気味であるし、ロケーションも悪くてTVドラマや映画にはなりにくい設定をあえて選んだのか、いわゆる本格推理の王道をひょうひょうと書き続ける姿勢に感激してしまう。
憎めない性格の犀川助教授と資産家の娘・西之園萌絵の色気とも奔放さともつかぬ軽さが、陰惨な殺人事件を明るくしてしまう。身近でこんなに頻繁に事件に遭遇したら堪らないし、いわば素人探偵があっさり情報を手に入れて解決してしまうという離れ業?も「王道」だったりします。
とにかく文章もうまいし、計算し尽くされたプロットに最後は「まいった」と言わしめる力量を味わうべし。
シリーズ物はできれば、順序よく読みたい物です。内田康夫の浅見シリーズとはすこし違った意味で嵌ってください。

お薦め度:お金の続く限り推理好きに星四つ。

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Comments

森博嗣って、もう古かったりするのですか? 文庫化を待つ身の浅はかさでしょうか?
まだ「嵌り度」が浅いので、教授か助教授かも定かではない。
建築材料の先生なの? それも凄かったりして……。
ワンパターンは、シリーズ物の必要悪だったりします。
水戸黄門も刑事コロンボも、「又かよ!」状態ですが微笑ましくあります。最近では、「渡る世間‥」ですか?
勿論、推理小説なのでネタがワンパターンではいけませんけどね。三谷幸喜は、トリックスターとして尊敬できますよ。
そう言う意味なら、森さんと被るのかも。
ともかく、小説の中の建築の描写が鋭い!ので、意匠設計にも関心のあるひとなのかな、とは思ってます。

Posted by: くろやぎ | Tuesday, November 09, 2004 12:04 AM

森博嗣っすか。

実は私、ものすごい前(5年前ぐらいかな)にハマッテたことあるんですけど・・・早く言ってもらったらお貸ししたのに・・。もう人にあげちゃいました。

えーこの人教授に昇進したんですか?
私が知ってる頃は国立大学の助教授だったはずですが。
多分、コンクリートの研究とかをやってる人だったと思います。
日記のようなエッセイのような本も出てるはずなので、まー読んでみてください。

この人の何冊も読んでると、いろんなパターンが分かってきて
もう読むのをやめてしまいました。
読みやすいけどワンパターンな気がして・・・。

この人の書くものすごーいドロドロした恋愛ものとかなら読んでみたいけど・・・多分無理だろーな。


なんか私の中で三谷幸喜とかぶるんですけど。

Posted by: コノコノ | Monday, November 08, 2004 04:21 PM

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