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華の下にて

内田康夫:華の下にて
講談社文庫

内田康夫氏の記念すべき100作目の長編推理小説であります。
『火サス』でも視聴率に困ったときの「浅見光彦シリーズ」みたいで大人気ですが、デビュー作「死者の木霊」あたりは、まだ光彦坊ちゃんの登場場面はありません。「信濃のコロンボ:竹村刑事」の地味な推理ものが基本の時期があります。ご当地伝説シリーズとして登場した光彦君は、あれよあれよと人気者になって確固たる地位を築きます。うだつの上がらないルポライターですが、名家の次男坊で生活には困らない。なぜか愛車「セリカ」に乗る清潔感のある佳い男らしい。いつも親父臭いゴルフ帽みたいなのを被ってる?年齢不詳の主人公。兄はいつの間にか「警視庁の刑事局長」という無茶な設定?(これは、水戸黄門の離れ業を故意に利用してる?)
さすがに100作目になると、主人公のまわりの設定に無理が出てくるのは「サザエさん」と同じで、浅見光彦の七不思議みたいな本も出回っているとか……。
そんな歳を取らない主人公たちを棚に上げて置いても、内田康夫先生の作品は多作にして破綻がない、「本格派推理もの」の王道をゆくものです。どの作品から読んでも、そのプロットと作中人物への情感あふれる思い入れに、納得の展開が期待できます。
伝説シリーズは特にその下調べに置いても、優れています。怨念、情念、どろどろ入り乱れての残忍な殺人が行われているに関わらず、光彦ちゃんの推理は明確でそして愛情にあふれた結末を用意してくれます。読後感の問題?って言うのでしょうか。

今回の「華の下にて」は、「文芸シリーズ」と唱った少し題名に奇を衒った?ような感じしか思えないけど、新シリーズの一冊です。華道界のおどろおどろした内幕を、ほんまかいな?状態で鋭く抉ります。康夫ちゃんには珍しく、女性が犯人像のストーリー、あれ?こんなあからさまな解説しても良いの? 犯人がだいたい分かっていても面白いのが、本格推理なのだそうです。新作はTVで早くからやってしまうから、観ているかもしれません。
ちなみに、最新作のTVでの光彦ちゃんは、配役的にちょっと不満。煮詰まってるかな? 水谷豊のときが一番良かったと個人的には思います。

それにしても推理小説ものは、文庫本になっても分厚いくらい長いですね。就寝前の読書習慣のわたくしには、その重さが苦痛なときがあります。ただ「グリーンマイル」のように極端な分冊は、通常の場合は鬱陶しいかも……。と言いながら、最近は長編も輪を掛けたような分厚いものを選んでしまうのも正直なところ。楽しみがすぐ終わってしまうのも寂しいし……。

お薦め度:星みっつ

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Comments

重要な指摘を頂きました( ̄Д ̄;;
警視庁は都限定の守備範囲だったのだ。
申し訳ありません。
今後は、も少し注意します。

Posted by: クロヤギ | Saturday, October 10, 2009 12:06 AM

浅見の兄は「警視庁の刑事局長」ではありません、「警察庁の刑事局長」です。

警視庁では東京都限定の事件しか解決出来ない、警察庁だからこそ全国の警察に顔が効き浅見が活躍出来る。

Posted by: 浅見&竹村ファン | Wednesday, October 07, 2009 11:38 AM

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