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ムーン・パレス

ポール・オースター 「ムーン・パレス」
新潮文庫 訳:柴田元幸

アメリカって変な国だなぁと思う。雑多な文学の分野で、特異な作家が存在する。多民族の多様な文化の混沌とした土壌が、開拓の荒野に記憶として存在したのか? なにより不思議なのはその才能は、他国?の人間に発掘されるという経緯が多いことだろう。
P・オースターの作家としても人生も、紆余曲折してたみたい。詩人であり戯曲家であった経歴も鳴かず飛ばずの作家志望の平凡な人生でしかない。
「ニューヨーク三部作」の突然の成功は、偶然の産物ではなく、哲学者・オースターの屈折した人生観の共鳴だったのだろうと思う。
それにしても、この「ムーン・パレス」は極上だった。
いつものように図書館の文庫コーナーの端に埋もれてた手頃な厚さの背表紙。探偵小説にも厭きた活字中毒者にとって格別の贅沢。当たり籤だった。
青春ものでもなく、恋愛ものでもなく、涙ほろほろでもないこの小説がどうして面白いのか? 都会の貸し室の唯一の窓から見下ろせる、キャバレー?ムーン・パレス。あくまで孤独な男が隠れ住む陰湿な空間から、現実のアメリカが見え隠れする。人生は後悔なのか、逃走し続ける青春の先にみえるものは、希望なのか?
突き放された孤独の縁に、ムーン・パレスは今夜も瞬く星のようである。

わかりにくい感想になってるなぁ。でもわかりにくい小説だから仕方ないか!
文章は秀逸。訳者も立派、二重丸。多分、原文はもっと抽象的だったはず。
売れっ子になったオースター、最近は映画化や脚本に嵌ってるらしい。
簡潔に言えば、シュール?でナイーブで格好いい作家だと思う。
敬愛するサリンジャーの一番近い後継者かも……。

お薦め度:星四つ

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Comments

「くろやぎ」でヒットするようになってきたぞ! 森本に感謝すべきなんだろうか? コノコノ女史もBlogを作って、トラックバックなるものをして欲しいものです。
装丁(ジャケ?)買いは少ないなぁ。まず単行本は余程間違いのない作家も以外は買わないし、文庫も帯では釣られないなぁ。セカチューは、娘が映画を観てから感動したらしく単行本をすぐ買ってきてましたが、3ページ読んでホッタラ化し状態です。イントロはとっても良いけど……。ベストセラーアレルギーなので、今年の暮れぐらいには続きを読むと思う。
野沢さんは残念でした、ほんと。去年の暮れにオムニバスのTV連作ドラマ(NHK)で、倉本聡と競作してたので記憶に新しいけど、神経質そうだったね。倉本と合わなかった?という噂も……。彼も商業作家の罠にはまった口か? 売れっ子には売れっ子のプレッシャーって奴ですか?

ほな、次のコメントもお待ちしてます。

Posted by: くろやぎ | Thursday, July 29, 2004 12:53 AM

ポールオールスターて誰よ!

ポールオースターの間違いです。

くろやぎさん、すいませんでした。


そしてベストセラーリストですいませんです。
「バカの壁」も読んじゃったし・・・。
ベストセラーリストまっしぐらです。

Posted by: コノコノ | Wednesday, July 28, 2004 10:25 PM

「くろやぎ」と検索したらこちらにヒット!ビックリです!

建築とこちらのBlogをかけもちなのですね?
また相変わらずマニアックなBlogですね?
ま、Blog自体がマニアック志向なのであれですが。

ポールオールスター苦手です、とは言っても昔一冊だけ読んだだけですが・・・素人が読んじゃいけないような文体で挫折してしまった記憶があります。
文化人受けしそうな文章ですよね?まー私は凡人なので肌には合いませんが。
装丁がオシャレな感じなのでついジャケ買いしてしまいそうです。

昔、(中3ぐらいの時)村上春樹の「ノルウェーの森」をジャケ買いしてしまい後悔したのを思い出しました。
そりゃー中3にあんな高度な恋愛ものが理解できるわけもなく・・・大人になったらこの感情とかが理解できるのかなーと思った記憶があるのですが、あの日から15年ぐらい経つのですが、正直自信なし。
それ以降、村上春樹はトラウマです。
だから名前つながりでいうと村上龍の方が好き。

あー、そんな私やばいです。

よく考えたらジャケ買いしまくりですわ。
「セカチュー」こと「世界の中心で・・・」もジャケ買いしちゃったし。
ただあれは去年の5月には読んでたので、かなりの青田買いです。
帯が柴崎コウのコメントで、たしか「涙なくしては読めない・・・」みたいな内容だったのですが、まんまと騙されてしまいました。300万部も売れるとは?理解不能です。
この前、本屋に行ったら今度は竹内結子が帯書きしてた本があって「ケッ、もうその手には乗らんわい。」とつぶやいてしまいました。


と、考えると装丁デザインってかなり重要なウエイトを占めてるのかも(私に限っては)


突然話変わりますが、野沢尚さん死んじゃいましたね。
よく読んでただけに結構ショックです。
作品からは自殺というイメージがないだけにビックリですが、「作家=自殺」というのは今も昔もかわらずインパクトあるし、苦悩の中であれ書いたのかーとか思うとなんだか作品の重厚感が増します。と思うのは私だけでしょうか?

では。

Posted by: コノコノ | Wednesday, July 28, 2004 10:16 PM

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